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女性医師のワーク・ライフ・バランスに関する質的研究

男性女性を問わず、医師の勤務環境は極めて忙しく不規則であり、その中でも高度な医療技術を修練し、さらに日々更新される医療技術にも対応することが求められています。
近年日本では、女性医師が増加傾向にありますが、その過酷な勤務環境から、ワーク・ライフ・バランス(以下WLBと略します)が困難であるということを理由に離職する割合が男性医師より高い傾向にあり、日本において女性医師のWLB支援策は医療や病院管理にとって重要なテーマです。
女性医師のWLBについての調査は以前より進んできていますが、これまでの実態調査の多くが女性医師に対するアンケート調査などによる量的分析であり、インタビュー・データに基づいた質的分析によるアプローチはほとんど行われてきませんでした。

 

そこで今回、女性医師が直面しているWLBの課題と支援ニーズを明らかにする目的で、インタビュー調査からの質的研究を行いました。

研究方法

1.分析方法

インタビュー調査で得た回答を、調査協力者の観点に根付いた形のまま一般化された抽象的な理論を引き出すことができる修正版グラウンドデット・セオリー・アプローチ(M-GAT)を用いて分析しました。

 

2.調査対象者

調査対象者である女性医師の業務の多忙さや不規則さなどの理由で、女性医師全体から無作為に対象者を選ぶことができませんでした。
そのため、最初に女性医師のWLB支援政策の研究に取り組いいでいる女性医師に協力していただき、続けてその協力者の知人である女性医師を非公開で紹介してもらう形を採り、現在病院に勤務している医師13名、病院勤務医を経て開業した女性開業医5名の18名を対象としました。

 

3.質問項目と分析方法

質問は「出産・育児・復職時の困難な点と対処方法について」、「病院や行政に求める支援制度について」、「女子医学生へのアドバイス」の3つに絞り、女性医師の離職率が最も多い20歳代後半から30歳代におけるWLBに焦点を当てました。

 

分析は、最初に先行研究から得られているデータを踏まえ、設問ごとに発言内容が損なわれない程度に簡素化してデータを細かく分け、その細かく分けられたデータをまとめて大きなカテゴリーを作りました。
これに2人目以降のデータかを加え、意味のあるカテゴリーに分類し、それを統合することを繰り返していきました。

 

さらに、著者の主観だけの分類にならないように、最初のデータの分類とその結果をカテゴリーにまとめたものについて、医師のWLB支援施策の実務に携わっている病院事務部門の職員1名と、調査対象者ではないWLB支援を研究している女性医師1名の計2名に別々に意見を求めました。

 

結果による考察

1つめの質問である「出産・育児・復職時の困難な点と対応方法」の回答を修正版グラウンドデット・セオリー・アプローチ分析した結果、「性差役割分業意識」「子育てサポート不足」「職務特性」「組織特性」の4つのカテゴリーができました。
それぞれのカテゴリーについての女性医師のWLBにおける現状の課題と支援ニーズを以下でまとめます。

 

1.性差役割分業意識
・課題

女性医師の配偶者の職業は同業である医師が多くなっています。今回の調査では、自分と同じように多忙な医師が夫であることから、育児や家事について夫の協力があまり期待できない状況もあり、女性医師の育児や家事に対する負担が大きくなっている可能性が示唆されました。

 

また、子どもは3歳までは母親がそばにいて育てた方がよいとされる3歳児神話の根強い存在もあり、嫁として、母親として、そして医師としての役割間の葛藤が課題となっています。

 

・支援ニーズ

性差役割分業意識に対する支援としては、妻や母親という役割も担っている女性医師の意識、男性医師の夫としての意識、これから医師になる医学生の意識の3つの意識改革が必要であると考えられます。

 

女性医師が妻や母親という役割を持つことが医師を辞める言い訳にならないという意識を持つことを浸透させ、女性医師を妻にもつ男性医師にも育児や家事の負担を妻だけに強いることがないよう協力する意識が求められます。

 

さらに、こういった先輩医師の経験を学生に伝えるチャンスを増やし、医師としてのWLBのあり方を早いうちから意識させる必要があると考えられます。

 

2.子育てサポート不足
・課題

子育て全般に対する行政や勤務病院のサポートが不足しているという状況に加え、特に子どもの急な発病への対応による負担が、母親である女性医師が常勤での勤務を継続させることに限界を感じる要因になっている可能性が示唆されました。
また、就学後の小学校低学年のサポート不足も大きな課題として浮き彫りになりました。
加えて、サポートが不足していなくても、周囲によき先輩やロールモデルが存在しないという理由でサポート情報がうまく伝わっていないケースも課題として挙げられました。

・支援ニーズ

時短勤務制度、フレックスタイム制といった勤務体制へのサポートに加え、院内保育などの乳幼児だけではなく、小学校低学年の学童期の学芸や学習を含めたサポート・サービスの充実が求められています。
また、充実したサービスがあっても、多忙な医師にとっては情報が入手しづらいという可能性も考えられるので、サポート・サービスに対する理解のための相談窓口やメンター性の導入を活発化させることも同時に求められます。

 

3. 職務特性

当直勤務や主治医制などの医師特有の職務も大きな課題になっています。
当直免除を希望する子育て中の女性医師は極めて多いのですが、職場の医師数によっては、女性医師が当直を免除されることは同僚の当直の増加につながり、新たな性差対立や男性医師の離職という問題を発生させていることが解りました。

 

また、複数主治医制度の導入によってかえって業務負担が増加してしまったという指摘もありました。

 

・支援ニーズ

負担のない交替勤務制や複数主治医制度の導入のためには、カルテ情報システムの整備によるテレワークを普及させる、医師事務作業補助者の増員する、また、夜間などに行われることが多いカンファレンスの開催時間を配慮し、チーム医療を導入することなどが有効ではないかと考えられます。

 

4.組織特性
・課題

医師としての力量ではなく、いかに長く働いたかによって人事評価がなされているという人事評価が非常に大きな問題であるとされました。
労働時間の長短によってなされる人事評価は、出産や子育てなどの負担が少ない男性にとって優位なものであり、優秀な女性医師に対して出産・子育てがペナルティーとなっているのでないかと考えられます。

 

さらに、このような医師の組織特性が、女性医師が皮膚科や眼科など比較的WLBを維持しやすい診療科を選択する傾向を強めさせ、結果的に診療科の性別偏在に繋がっている可能性もあります。

 

・支援ニーズ

組織特性に対する支援としては必要なのは、医局内の人事評価制度の見直しです。
特に、長時間労働を高く評価するという組織の風土を改め、医師としての能力や成果、貢献度によって評価される基準作りが、病院組織や管理職に求められていることが示唆されました。

 

また、女性医師をサポートしている医師への手当の支給や昇進、長時間働くことができない女性医師に対する代替要員の補充といった、女性医師を支える周囲の医師に対する十分なサポートや心理的な承認、また追加的な人事面での処遇アップが求められます。

 

課題と展望

今回の研究では、女性医師の職業上の理由でランダムに対象者を抽出することができず、得られた質的データの信頼性に限界がありました。
今後さらにサンプル数を増やし、より客観的な信頼性を持つ質的研究によって検証を進めていきたいと考えています。

 

女性医師のワーク・ライフ・バランスに関する質的研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsha/51/2/51_117/_pdf

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