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医師のキャリア形成と医師不足

医師のキャリア形成は医局ネットワークを中心として行われてきましたが、2004年に卒後研修が導入されたことにより、大きく様変わりしています。
また、近年問題になっている医師不足について、本当に医師の総数が不足しているのでしょうか。

 

卒後研修導入によって医師のキャリア形成がどのように変化したのか、本当に医師の総数は不足しているのかみていきましょう。

医師のキャリア形成と医局ネットワーク

①卒後研修導入前

医師のキャリア形成は、大学医局と関連病院との間の人事交流ネットワークである医局ネットワークが中心でした。
医師は、医局が強い結びつきを持つ、いくつかの関連病院と形成するネットワークの中で転職を繰り返し、実質的には医局に属しながら病院に派遣されるという形式をとっていました。

 

大学卒業後は通常大学病院で2年間前期研修を行い、その後は大学の関連病院に派遣され、30代中ごろまでは、5年程度の間隔でいくつかの関連病院を回り、臨床医師としての技術を向上させていきます。

 

40歳前後で、講師として大学に残るのか、関連病院で最終ポストを得るのかについての最初のキャリアのふるい分けが行われ、残った講師の中で教授に認められた者は、医局の事務局長となり、教授の意に沿って関連病院への医師の派遣を司っていくことになります。

 

40代後半で2度目のふるい分けが行われ、講師、医長クラスの上、准教授や有力な関連病院の部長クラスに就くことができれば、その後の教授や院長のポストが見えてきます。
そうでない場合には現状のまま医長クラスで大病院に残るか、より小さな関連病院の部長クラスで移るか、診療所を開業するかの決断を迫られます。

 

医師のキャリアにとって開業の決断は、将来教授や病院内でより収入のある地位に就く可能性が小さい場合、現実的な選択肢と言えます。
男性医師は40代で勤務医をやめて開業するかどうかの決断をしますが、女性医師は男性よりも早く、30代で病院勤務以外の選択をする傾向にあります。
また、2009年の調査では以前は40歳以前だった開業医になる年齢が、40歳以上に上昇してきていることが明らかになっています。

 

②卒後研修導入後

これまでの医師は、卒業後すぐに大学医局に入り、出身の大学病院で研修を受けていました。
しかし、これではその医局が得意としている診療科目を専門的に学ぶことになり、総合的な診療技術や基本的な治療法についての技術習得が困難でした。
この点を改善し、大学卒業後にすべての診療科目に関する基本的な治療法を実際の医療機関で研修を行い身に付けさせるために2004年に導入されたのが、卒後研修です。
卒後研修制度では、研修指定病院と研修希望者のマッチングによって研修先が決められます。

 

病院が独自に研修プログラムを提供し、卒業後の医師が自由に研修先を選択できるようになったことにより、今まで主に医局から医師を派遣してもらっていた病院が新卒者をリクルートすることが可能になりました。
2年間の研修後、入局を希望した医師は全体の6割程度であり、今後医局ネットワークが
医師キャリア形成に果たす役割は小さくなることが予想されています。

 

医局ネットワークの功罪

医局ネットワークは、一方的な大学の支配ではなく、関連病院と大学との互恵関係と言えるものです。
病院としてより多くの患者を引き付けるために必要な新しい医療技術やそれを扱う優秀な医師を供給してくれるのが大学です。
また、医局から派遣された医師であれば、能力や医師としての資質に問題があった場合は大学に引き取ってもらうことができ、解雇に伴う訴訟リスクを負う必要がありません。
また、大学にとっても民間病院のポストは医局の医師の研修先や、講師や准教授の落ち着き先として価値のあるものです。
さらに、医局にとっては、1つの病院にとどまらない広域的な人事によって有能な医師や研究者を選抜できる有用なシステムでもあります。

 

しかし、医局ネットワークには弊害もあります。
特定の大学出身者によって人事が支配されることにより、能力や医療実績とは関係のない昇進等が行われるなど、大学のヒエラルキーが医療現場に持ち込まれてしまいます。
その結果、診療方法などについて互いに検証しあうことがなくなり、医療過誤に繋がっていく場合もあるでしょう。
さらに、医療過誤が生じた時、それを隠蔽しようという意識も生み出されてしまいます。
また、特定の大学との結びつきが強くなると、その大学の医療技術しか導入されず、他の大学などの優れた技術の導入が遅れてしまいます。

 

経済学的観点から見た医師不足

マクロ経済学の観点で見た場合、医師不足とはサービスに対して供給が需要を下回っている超過需要の状態であり、医師の賃金は上昇するはずです。
しかし実際には、勤務医の賃金は全体的に下がっており、特に30歳代の賃金が減少している。
デフレ経済であることを考えても賃金下落が大きく、勤務医だけでなく開業医についても同じ傾向が見られることから、経済学的に医師不足とは考えられません。
また、医師について、社会的収益率の大きさから見ても、現状が医師不足だと言える証拠となる数字はありません。

 

このように、経済学的な数字からは、需要に対して医師の総数が足りない、すなわち医師不足であるという状況は読み取れません。

 

医師不足の原因は女性医師比率の増加と診療科選択

厚労省は以前から、医師の総数に大きな不足はなく、医師不足は特定の診療科の問題であり、その原因は診療科間の医師の配分にある、としてきました。
特に医師不足が指摘される診療科は外科、産科、小児科、麻酔科です。

 

これらの診療科の医師が不足する理由としては、女性医師が外科系を選択しないので、新しい医師が入ってこないこと、また、産科や小児科、麻酔科は比較的女性医師が多いけれども、女性医師は若い時期に病院から診療所に勤務先を変えてしまうので、これらの科目の病院勤務医が不足がちになること、が考えられます。

 

女性医師の比率は年々高くなってきていて、男性医師の年齢別比率では40代中頃の医師数が最も多くなっているのに対して、女性医師では、国家試験を合格して間もない20代後半にピークがあります。
つまり、あと20年後には医師の中核を担う40代の3分の1が女性医師ということになるのです。
診療科間、または病院と診療所間の医師数のミスマッチが存在し、それが女性医師の特定の診療科、診療所に対しての相対的な選好の結果であるのなら、医師不足はますます顕著になる可能性があります。

 

診療科間の医師のミスマッチを解決するためには、自由に診療科目を選択できる現在の制度を改め診療科ごとに定員を割り当てる必要があります。
また、女性医師が特定の診療科を好んで選ぶことについては、女性の働きにくさという制度的な背景も関係しているのか、または男性とは異なる女性特有の特徴が特定の診療科ではプラスに作用するといった理由もあるのか、検証する必要があるでしょう。

 

まとめ

これまで医師のキャリアは、大学医局と関連病院との間の人事交流である医局ネットワークを中心に形成されてきました。

 

しかし、卒後研修制度の導入によって、今後医師のキャリア形成に果たす医局ネットワークの役割は小さくなっていくと予想されます。
また医師不足とは、医師の総数の不足ではなく、特定の診療科や病院について見られる現象であり、その原因として、女性医師比率の増加と診療科目の選択に偏りが見られることが考えられます。

 

医師のキャリア形成と医師不足
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/01/pdf/028-041.pdf

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