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インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」の効果を徹底解説!

2018年12月14日付けで、「インフルエンザの流行入り」が発表されました。
インフルエンザを疑って病院を受診される方が、どんどん多くなるでしょう。
ところで、新薬「ゾフルーザ」についてはご存知でしょうか?
今回は、作用機序と臨床試験の結果を簡単に説明しながら、ゾフルーザは本当に効果的な薬か、お話ししていきます。

作用機序について

ウイルスの増殖自体を抑える

インフルエンザの治療薬として、新しく保険適応になり、昨年の3月14日から販売されている新薬「バロキサビル マルボキシル(一般名 ゾフルーザ)」。
その働きは、従来の「リン酸オセルタミビル(一般名 タミフル)」や「ザナミビル水和物(一般名 リレンザ)」など、ノイラミニダーゼ阻害薬とは異なります。

 

「ゾフルーザ®」の目的は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害する事によって、ウイルスの増殖自体を抑えるというところにあります。

 

インフルエンザウイルスは、エンベロープの表面の赤血球凝集素が、ヒトの気道にある細胞の表面に存在するレセプターに結合して感染し、「脱殻」と呼ばれる、ウイルスリポ蛋白複合体が細胞内で放出される段階を経て、ヒト由来の細胞の核内に移行します。
その後に、核内で行われるのがウイルスRNAの転写による、メッセンジャーRNAの合成とウイルスゲノムRNAの複製です。

 

メッセンジャーRNAの合成をブロック

RNAポリメラーゼ阻害薬である「ゾフルーザ®」は、このうちのメッセンジャーRNAの合成をブロックします。
メッセンジャーRNAの合成をブロックするためには、転写を開始するのに必要な、ポリメラーゼが働けないようにすれば良い訳です。
ウイルスのポリメラーゼは、PA、PB1、PB2の3つで構成されていますが、ゾフルーザは、PAのキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害する事により、ウイルスの増殖を抑えるという役割を担っています。

 

作用機序の点から見ると、従来の薬はノイラミニダーゼ阻害薬という種類のもので、細胞内で増えたウイルスが細胞外に出る過程を阻害し、周囲の細胞に広がっていくのを防ぐという薬でしたので、「ゾフルーザ®」は、全く異なるものだと言えます。

 

治験のポイント

「ゾフルーザ®」の機序は、今ご紹介した通りです。
しかし、処方する際に一番重要なのは、この薬を服用する事で、有効な治療対効果が得られるかどうかですよね?
次は、「ゾフルーザ®」を服用する事で、これまでの薬よりも優れた効果を生む事ができるかどうかについて、ご説明していきます。

 

これまでの薬よりも優れた効果を生む事ができるかどうか

「ゾフルーザ®」が承認される事となった臨床第Ⅲ相試験である、CAPSTONE1 テストというのは、日本及びアメリカで2016年12月から2017年3月までの間でインフルエンザ類似の症状が見られた12歳~64歳を対象をとしていて、「ゾフルーザ®」と「タミフル®」「プラセボ群」の3つに分けた2重盲検ランダム化比較試験の事です。

 

対象者は、38.0度以上の発熱と全身症状が見られ、中等度以上の呼吸器症状を有する患者で、かつ、症状が出てから48時間以内の場合です。

 

この治験結果のポイントを以下に記載します。

・「ゾフルーザ®」を服用すると、プラセボ群よりは有症状期間は1日ほど短くなるが、既存の「タミフル®」と比べると差は認められない。
・「ゾフルーザ®」は、ウイルス検出期間を「タミフル®」やプラセボよりも2~3日短くする。
・「ゾフルーザ®」の投与した患者の10%、小児に限ると20%でウイルスの遺伝子に変異が生じていて、ウイルス検出期間と有症状期間の両方を延ばしてしまう症例がある

 

この3点に関して、詳しくお話ししていきます。

 

症状軽快までにかかる時間の短縮はわずか

1つ目についてです。
主要評価項目である「症状軽快までに要する時間」は、「ゾフルーザ®」群対、プラセボ群では、中央値で比べると53.7時間対80.2時間で、「ゾフルーザ®」群の方が、有意に短くなるという結果でした。
しかし、「ゾフルーザ®」群と「タミフル®」群を比べてみると、53.7時間対54.0時間でほとんど差は認められませんでした。

 

患者さんにとっては、「辛い症状を治して欲しい。」という事が、治療に求める最大の要望です。
この観点からすると、既存の「タミフル®」と比べ、症状軽快までにかかる時間の短縮はわずかで、はっきりと「ゾフルーザ®」の方が効果的であるとは、言い難いでしょう。

 

感染拡大を抑える

2つ目についてです。
「ウイルス検出期間」は中央値で、「ゾフルーザ®」群が24.0時間、プラセボ群が96.0時間、「タミフル®」群が72.0時間ということで、「ゾフルーザ®」群で明らかに短くなっていました。

 

この結果から言えるのは、ウイルスの増殖が鎮静化するまでや、ウイルスの排出が落ち着くまでの時間が、「ゾフルーザ®」を服用した方が短くなり、感染拡大を抑えるという点では、他に比べて優れているという事です。

 

遺伝子変異があるウイルスに感染した場合

3つ目についてです。
「ゾフルーザ®」の低感受性に関与するのは、PAに遺伝子変異があるウイルスゲノム持つものに感染した患者です。
「ウイルス検出期間」と「症状軽快までに要する期間」に関して、「ゾフルーザ®」を投与され、上記の遺伝子に変異がないウイルスに感染した群、「ゾフルーザ®」を投与され、上記の遺伝子に変異があるウイルスに感染した群、プラセボ群の3群を比較したデータがあります。
ウイルス検出率に関して、3群を比べた結果は、9日目でそれぞれ2%、17%、6%であり、症状が出現している期間は、遺伝因変異があると63.1時間という結果でした。

 

この結果から、遺伝子変異があるウイルスに感染した場合は、ウイルス検出期間、有症状期間、共に長引くという事がわかります。

 

メリットとデメリット

後半は、先ほど述べた治験の結果も考慮した上で、「ゾフルーザ®」のメリットとデメリットについて考えて行きたいと思います。

 

「ゾフルーザ®」のメリット
1回の服用で治療効果が期待できる

まず、メリットから述べていきます。
この新薬のメリットは、何と言っても、1回の服用で治療効果が期待できる事です。
1回の内服で良いゆえに利便性が高く、また、飲み忘れにより治療効果が低下する事を防げる為、アドヒアランスも優れていると言えます。

 

感染拡大を抑えるのに有効

また、低感受性群を除けば、ウイルス検出期間が短縮される為、感染拡大を抑えるのに有効だと言えます。

 

さらに、有害事象に関しては、これから新たな副作用が指摘される可能性もありますが、現段階では、既存の「タミフル®」よりもわずかに少ないという結果があります。

 

「ゾフルーザ®」のデメリット
「タミフル®」と比べてみると割高

次にデメリットに関して述べます。
1つめの問題となるのは、コストです。
「ゾフルーザ®」の薬価は、10㎎で約1500円、20ミリグラムで約2400円となっていて、体重が40㎏から60㎏の大人の場合だと、服用量は20㎎の錠剤を2錠、12歳未満で、体重15㎏の子供の場合、10㎎1錠となります。

 

服用は1回で済む為、大人であれば、約4800円、子供であれば、約1500円です。

 

既存の「タミフル®」の薬価は、75㎎が約270円で、体重37.5㎏以上の小児と成人は、1回1錠を1日2回、5日間服用する必要があるので、合計約2700円です。
「タミフル®」と比べてみると割高になっている為、患者さんの立場になって考えると、デメリットとなります。

 

低感受のものの出現

また、「ゾフルーザ®」に低感受のものの出現も問題となります。
低感受性になったウイルス株であると、ウイルスの検出される期間が延長し、周囲への感染リスクが、インフルエンザに対する薬を処方しない場合よりも高くなってしまう可能性があります。

 

しかし、低感受性のウイルス株なのかどうかをすぐに確認する手段が現段階で、まだ定まっていません。
低感受性株なのかを短時間で判断できる仕組みを作る事が、今後の課題です。

 

参考URL:
ketsueki.jp/2018/03/13/ゾフルーザ︎-一般名%ef%bc%9aバロキサビル-マルボキシ/

 

まとめ

以上の事を踏まえると、安易に「ゾフルーザ®」を処方するのは考え物という見解もあります。
そもそも季節性インフルエンザは自然治癒します。
ただ、入院患者など可能な限り早くウイルスの排出を抑えなければいけない方や、大事な仕事や試験があり、一日でも早く症状を抑えてあげる必要のある方もいます。
患者一人一人の利益と損失のバランスを考え、希望も考慮した上で、この薬を処方するかどうか判断していく必要があるでしょう。

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